「あの子、うまくやってるかしら」

　煙草の煙をくゆらせながら、ブルマは青く澄み渡る空を仰いだ。

　佳奈とデートに行くように計らったはいいが、トランクスが上手く、佳奈とのデートを進められているか、気になって仕方ない。

　女の子慣れしてない我が子が、どんなデートをしているのやら……。

　楽しいと心配とが混ざり合い、ブルマはこの日、佳奈の故郷である、もう一つの「地球」を捜す。という作業を、一向に進めることが出来なかった。


　佳奈とトランクスがカプセルコーポレーションに帰って来たのは、空がオレンジ色へと染まり始めた頃だった。

「ただいま、母さん」
「ただいまです……」

「おかえりなさい！」

　二人を迎えに出たブルマは、二人のようすが家を出た時とは少し違っていることを感じ、あら？　と思った。

　前回の博物館デートに比べると、今回は一日を使い、ゆっくりデートして来たことを含め考えると

（へぇ。少しはデートっていうものを解ってきたのかしら）

　ブルマは息子の成長を感じ、口元がにやりと緩んだ。
　
「それで、今日はどこへ行って来たの？」

　二人で楽しい時を過ごしたのだとすると、リゾート気分が味わえる南の都方面だろうか？

　そんな期待をしたブルマだったが

「神様の神殿とその周辺を周って来たよ」

　トランクスからの答えを聞いて

「え？　神様の神殿？！」

　唖然としてしまった。

　確かに「神様の神殿」は空の上に浮かぶ、摩訶不思議な場所ではあるが、決してデートで訪れるような場所じゃあない。