佳奈の発言で、急に居心地が悪くなったトランクスは、目線を前に向けたまま

「母さんから聞いたんですね」

　動揺を必死に隠しながら尋ねると

「うん。でも、聞いた時は信じられなかったです！　けど、思えばトランクスさん、空を飛べたりするし。だから、そういうことなんだと思って、すごく納得しちゃいました」

　佳奈は何でもないことのように答えた。

　その答えに、拍子抜けしたトランクスは

（隣りに座る俺が、純粋な地球人でないことに抵抗はないのか……？！）

　それが気になり

「あの……。俺のこと、怖くないですか？」

　思い切って口に出すと、佳奈はやはり何でもないことのように

「？　怖くないですよ？　だって、トランクスさん優しいですもん。それに、人造人間ていう敵から、この地球を守ったヒーローなんでしょ？　だから、怖いなんて思わないです」

　柔らかい口調でそう返してきた。

　この答えに、トランクスはただ驚いた。

　そして、素直に嬉しかった。

　普通の人間と違う自分は、仲間のいないこの世界では、受け入れられないような気がしていた。

　特に、人造人間を倒してからは、周囲に恐怖を与えないよう、力を隠し「普通」でいるよう心掛けている。

　しかし、隣りに座る少女は、それを気にするようすもなく、肯定してくれている。

　トランクスは佳奈の言葉で、ありのままの自分が救われたような気がして

「ありがとう、佳奈さん。そう言ってもらえて、嬉しいです」

　噛み締めるように、感謝の言葉を伝えていた。