「神様じゃないんですか？！」

「ええ。ポポさんは神様の付き人をされていた方なんです」

「付き人？！」

　佳奈はてっきり、ポポをたくさんいる神様の中の一人だと思っていた。

　でも、よく考えてみれば、自分のような普通の人間が、神様に会えるなんて畏れ多いことで

「ですよね……。神様に会えるなんて、有り得ないか……」

　そこにようやく気付いた佳奈は、苦笑いを浮かべた。

　この世界なら「神様」に会える。なんて、普通じゃなことが有り得るのかもしれない！

　そんな期待があった。

　しかし、どんな世界であろうと、神様に会えるなんて無理な話しなのだ。

　神様は、だから神様なのだ。

　恐らく、この世界に来た影響で「普通」という基準がズレはじめているのかもしれない。

　そんなことを薄っすら思い、佳奈が密かに嘆息していると

「ありますよ。神様に会ったこと」

　操縦桿を握るトランクスが、得意げな声でそう言った。

　その発言に

「え？」

　佳奈はキョトンとした顔で、トランクスの横顔を見つめた。

　そして、少し間を空けてから

「あるんですか？」

　目をパチパチさせ尋ねた。

　数日過ごしただけだが、これまでトランクスが冗談を言ったことなど聞いたことがない。

　とても真面目で、冗談を言うようなタイプじゃない。そう思っていたが、そうでもなかったのかもしれない。

　いや。

　もしかして、本当に会ったことがあるんだろうか？

　真意を聞きたくて、佳奈はじっとトランクスを見つめた。