「そ、それよりも、佳奈さんの住む地球のことはご存じないですか？」

　話しを自分たちがここに来た理由へと戻した。

　無表情ながらも、しょんぼりした雰囲気を醸し出すポポだったが、繰り返されたトランクスの質問に

「……すまない。分からない。ポポ、この地球、ずっと見てきた。でも、佳奈の住んでた『ニホン』知らない」

　ゆっくり首を振り、答えた。

　僅かな期待を胸に訪れた神殿だったが、やはりここでも、佳奈の住んでいた「地球」に関する手掛かりはなく、トランクスと佳奈は肩を落とした。

　そんな二人を見て

「佳奈のいた地球、きっと見つかる。ポポも調べる。諦める、よくない」

　ポポは励ましの言葉をかけ、二人に希望を持つよう諭した。

　その言葉に、トランクスと佳奈は、互いに顔を見合わせてから

「ありがとうございます、ポポさん」
「ありがとうございます」

　ポポに感謝の言葉を告げ、神殿をあとにした。



　再び飛行機に乗り込み、神殿を飛び立ってすぐ

「ポポさん、あそこに独りで住んでるんですね……」

　佳奈から、寂しそうな声がポツリと漏れた。

　ピッコロたちが人造人間たちに倒されて、二十年あまり。

　それ以来、ミスター・ポポはあの神殿で独りきりだ。

　ピッコロの死後、悟飯は時々訪れていたようだが、悟飯が亡くなってからは、誰も訪れていなかっただろう。

　それを思うと、トランクスの胸には途端に、罪悪感と後悔が広がっていき、居た堪れない気持ちになった。