佳奈は、地上へと下りて来たトランクスを怯えるように見つめつつ

「あ、あの……。す、すみません……。ここは、どこですか？」

　眉を下げ尋ねてきた。

　少女の問いに、トランクスは「え？」と声を漏らし、佳奈が記憶を失くしているのかと一瞬疑ったが、さっき「森には行っていない」と、彼女がハッキリ答えたことを思い出し、その考えを打ち消した。

　だが、佳奈の問いに、トランクスが密かに首を傾げたのは確かで

「……ここは、西の都から少し離れた丘陵地帯です。ここから五キロ程歩くと、西の都に着きます」

　そう言って、自分たちが現在いる場所を伝えると、佳奈は

「ニシノ……ミヤコ？」

　聞いたことがない。

　とでも言うふうに、不安な表情で呟いた。

　そんな佳奈を見て、トランクスは驚いた。

『西の都』と言えば、この地球で知らない者はいない、最先端の大都市である。

　その『西の都』を、この佳奈という少女は、知らないという顔をしている。

　まさか……？！

　トランクスが、目の前の佳奈を見つめていると、佳奈は、自分が何かおかしなことを口にしたらしいことを察したようで、ますます不安そうな表情になった。

　不安と混乱を滲ませる顔に

「佳奈さんは、西の都をご存知ないですか？」
　
　トランクスが確認のため尋ねると、佳奈は小さく頷き「知りません」と、答えた。

　やはり、西の都を知らないという少女に