「えっ？！　何アレ……！！」

　驚く声をあげた佳奈の目には、緑の森から天に向かって伸びる白い塔が映っている。

　あまりにも神秘的な光景に、佳奈は身を乗り出し、窓にへばりついていた。

　そんな、白い塔を見つめる佳奈のようすに

「あれはカリン塔といって、神様の神殿に繋がっているんですよ」

　トランクスが、目尻を下げ答えると、前を向いていた佳奈は、すぐにトランクスの方に顔を向け

「神様の神殿？」

　不思議そうに小さく首を傾げ、問い返してきた。
　
　突然『神様の神殿』など言われ、首を傾げたくなるのも当然のことだろう。

　この地球に、むかし神がいたことを知っているのは、ごく僅か――。自分たちの仲間だけだ。

　トランクスは、佳奈の当たり前の反応に、表情を緩めると

「この地球には、むかし神様がいたんです。その神様が住んでいた神殿が、あの塔の先にあるんですよ」

　むかし、師匠であった悟飯に、一度だけ連れて行ってもらったことを思い出すも、トランクスの心には、過去の世界で訪れた神殿の方が、強く心に残っていた。