綿菓子のような白い雲を掻き分け、佳奈とトランクスの乗る飛行機は空の中を進んでいた。

　前面が窓という、圧倒的見晴らしの良さで、空だけでなく、足元に広がる、キラキラと輝く海まで綺麗に見える。

　この美しい景色を目の当たりにして、佳奈は感嘆の声を漏らさずにはおれなかった。

　乗る前から、この飛行機はアトラクションみたいだと思ってはいたが、乗ってみれば、思った以上にアトラクション感が半端なく、佳奈は、本物の飛行機に乗っているという実感が湧かないでいる。

　隣りで操縦桿を握るトランクスは、そんな佳奈のようすを微笑ましく思いながら

「乗り心地はいかがですか？」

　優しく声をかけた。

　まるで、子供のように身を乗り出し、外の景色を見ていた佳奈は、慌てて椅子に座り直すと

「は、はい！　快適です！」

　そう答えてから

「すごくいい景色だから、はしゃいじゃって……。ごめんなさい……」

　気恥ずかしそうに、身を小さくした。

「いえ。楽しんでもらえているならよかったです」

　佳奈のはしゃぐ姿に、トランクスは目を細めながら

「今日は、空からこの地球を案内しますね。もし、気になる場所があれば言って下さい。すぐ地上に下りますから」

　視界の先に見えて来た、緑豊かな大地を見つめた。

　人造人間によって、破壊し尽くされた地球だが、都市部を離れれば、緑豊かな自然は十分に残っている。

　今日は先日のように、人造人間たちによる破壊の痕跡を、佳奈には見せたくない。