二人から向けられる表情に、佳奈が内心慌てていると「ふふっ！」っと、ブルマから笑い声が漏れた。
　
　その声に、佳奈は、自分が何か変なことを言ったのではないかと、ますます不安になり、眉を下げブルマを見ると

「ああ、気にしないで！　別に佳奈ちゃんが変なことを言ったわけじゃないのよ」

　ブルマは佳奈の心情を察したらしく、気にするなというふうに笑顔を向けてから

「ただ、トランクスが『トランクス君』なんて呼ばれてるのが初めてで、新鮮だったの！」

　ブルマは更に可笑しそうに笑みを浮かべ

「ね、トランクス？」

　視線を息子へと投げた。

　これまで、同世代の友人などいなかったトランクスにしてみれば、君付けで呼ばれるなんて初めてのことではないだろうか？

　ブルマは、息子がどんな顔をしてるのか気になって仕方なく、好奇の目を向けた。

　その、母から向けられる含みを持った視線に、トランクスは、湧き起こる甘酸っぱい感情を隠そうと「え、ええ」と曖昧な返事で誤魔化したが、そんな我が子の感情など、すっかり見抜いているブルマはニヤニヤと笑いを堪えながら

「さ、そろそろ出発したら？　デートの時間が短くなっちゃうわよ！」

　茶化すように、トランクスに出発を促した。

　ブルマの表情から、自分の心の内を見抜かれてることにギクリとしたトランクスは

「そ、そうだね……！　それでは佳奈さん、行きましょうか」

　ブルマから逃れるようにカプセル窓を閉め、飛行機のエンジンを始動させたのだった。