トランクスが、佳奈を見つけた時の状況を説明すると、それを聞いた佳奈は

「倒れてた……？　私が？」

　身に覚えがないというふうに、不思議そうな顔を浮かべた。

「え、ええ……。だから、俺はあなたを病院へ連れて行こうと……」

　トランクスがそう言葉を続けると、佳奈は、明らかに怯えるような顔をトランクスに向けて、身体を固くしたのが分かった。

　その表情と態度に、自分は何か誤解されている……。そう感じたトランクスは

「いや、あの……！　でも、病院に着く前に、あなたが回復されてですね……！」

　慌てて、抱えていた佳奈が目を覚まし、いまに至ることを説明したが、トランクスを見る佳奈の顔は、更に怯えを深めた。

　……まさか、自分が怪しまれるなんて……。

　トランクスは、ショックを受けつつ

「で、でも、体調が戻られたようで、よかったです……」

　無理に笑顔をつくると

「も、もう、大丈夫そうですね。それなら、俺はここで……。失礼します」

　佳奈に、軽く会釈をしてから、宙に浮き上がり、飛び去る……いや、逃げ去ろうとした。

　すると

「あ、あの！」

　トランクスを呼び止める声が、浮き上がった、すぐ足元から聞こえてきた。

　見ると、たったいま離れたばかりの大地から、佳奈が困惑した表情で、トランクスを見上げている。

　彼女を怖がらせるわけにはいかない……。

　そう思い、佳奈から離れたトランクスだったが、その声で、再び地上へと下りた。