一体、どれぐらいの時間、デパートの中を歩き回ったのだろうか。

「買い物」となれば、いつも時間を忘れ、友人と歩き回ることが出来る佳奈だが、さすがに今日は気疲れ？　もあってか、ヘトヘトになっていた。

　ブルマの「お茶でもしましょうか」という提案がなければ、佳奈は疲れ果て、歩けなくなっていたかもしれない。

　たくさんの紙袋を手に提げた佳奈は、ふらつきながら、ブルマと共に、エレベーターで最上階にあるレストラン街へと向かった。

　平日ということもあるのだろうが、デパートにはまだ、以前のような賑わいは戻っていない。

　街は復興されても、人の数はすぐに戻るわけではないことを、ブルマは今日、デパート内を歩きながら痛感していた。

（何とか、人口も戻さなきゃいけないわね……）

　ブルマは、一瞬難しい顔をしたが、目当てだったらしいカフェを見つけると

「さ、あそこでお茶にしましょう」

　にこりと微笑み、店内へと入って行った。

　

　テーブルに運ばれてきたアフタヌーンティー。

　それを見るなり、佳奈の疲れは、一気に吹き飛んでしまった。

　三段あるティースタンドは、下段にサンドイッチ、中段にスコーン、上段には十種のプチガトーが載せられ、一緒に運ばれてきたティーポットからは、アールグレイの華やかな香りが広がっている。

　いつかは食べてみたい！　そう思っていたアフタヌーンティーに、佳奈が目を輝かせていると

「ずっと頼んでみたかったのよね～！」

　向いに座るブルマも、目を輝かせていた。