佳奈の方を振り返り青い目を輝かせると、少し先にある店舗へと足早に行ってしまった。

　自分のモノを買ってもらうなど、全く思ってもなかった佳奈は、この状況に困惑しながらも、ブルマの後を追いかけざるを得なかった。

　店先に飾られた、無機質なマネキン。

　そのマネキンが纏う、水色のワンピースを見るブルマは、追いついて来た佳奈を振り返るなり

「どう？　このワンピース、絶対佳奈ちゃんに似合うと思うの！」

　力強い口調で、佳奈に勧めてきた。

　丈が長めの、ふんわりしたワンピースは、パフスリーブの袖が、可愛らしさを演出する一方で、スクエアの胸元が大人っぽさを醸し出し、上品さもあった。

　ワンピースを見るなり、その絶妙なデザインにときめいてしまい

「わぁ、カワイイ！」

　佳奈が感動した声を漏らすと、それを聞いたブルマは、すぐに店員を呼び、ワンピースと佳奈を、試着室へ押し込んだ。


「いかがですか？」

　店員のソプラノ声に、佳奈は「は、はい」戸惑いながら返事をし試着室のドアを開けた。

　すると、ドアを開けるなり

「！　やっぱり、私の見立てに間違いなかったわ！」

　ブルマは自分の考えは正しかったといわんばかりに、大きな頷きを繰り返した。

　そんなブルマの姿に、今日、何度目になるだろう、困惑した表情を佳奈が浮かべると

「さて。じゃあ、次はこのワンピースに合う靴を見つけなきゃ」

　ブルマはそう言って、表情を一段と明るくした。