昼食を終え、佳奈とトランクスはレストランを出た。

　陽はまだ僅かに西に傾いただけで、沈むまでには、まだ十分時間がある。

（帰るには、まだ早いかな……）

　佳奈と二人で過ごす、この時間が終わってしまうことが惜しい。

　そんな思いを頭の中にチラツかせながら、トランクスはカプセルを投げていた。

　モクモクと立ち込める、白煙の中の赤いエアカーを見つめ

（どうする？）

　トランクスは、自身に選択を迫った。

　驚いた顔で出現したエアカーを見つめる佳奈へと視線を移し、トランクスは軽く拳を握ると

「あの、佳奈さん……」

　そう切り出し

「まだ時間も早いので、少し、ドライブでもしませんか？」

　思い切って、佳奈をドライブに誘っていた。

　佳奈は、驚いた顔をそのままトランクスの方へ向け、一度瞬きをしてから

「はい」

　トランクスの誘いに、笑顔で答えた。



　穏やかな午後の陽射しが、目の前に伸びるアスファルトの路や、遠くに見えるなだらかな緑の丘を、鮮やかに照らしている。

　さっきまで、都会のど真ん中にいたかと思えば、こんなにもすぐに、自然豊かな景色が広がっていることに、佳奈は密かに驚いていた。

　思えば、昨日トランクスに抱えられ飛んでいた時も、眼下には、緑豊かな大地が広がっていた。

　見渡す限り、ほぼ人工物。

　そんな場所で育ってきた佳奈にとって、こんなにも、自然が身近にあることは、それだけで非日常だった。