何だか、自分も受け入れられたような気がして、胸の奥が温かくなってきた。

　佳奈が、自分の問いに何と答えるのか？

　何かを期待するように、正面に座る少女を見つめると、佳奈は

「……うん。そうですね。このまま暮らすことになっても、普通に暮らせそうです」

　少し宙を見て、考える素振りをしてから、柔らかい笑顔で答えた。

　その答えが冗談であることは分かっているし、あってはならないことだということも分かっている。

　しかし、トランクスの胸に、じわりと喜びが広がったのは間違いなく

（このまま、この世界にいてくれないだろうか……）

　そんな不謹慎な想いが過ったのも確かだった。

　僅かでも、浅ましい気持ちを持ってしまったことに、トランクスは心の中で頭を振りながら、何故、自分は昨日今日会ったばかりの佳奈に、こんな感情を抱くのかが不思議だった。

　変わらず、リスのような仕草で、スープを啜る佳奈を見つめていると、目が合い、顔中に熱が集まるのを感じた。

　そして、佳奈の方も、食べてるところを見つめられてることに気付き、恥ずかしそうにスープマグから口を離し、俯いた。

「あ、いや。すみません……！　この世界の料理が、佳奈さんの口に合ってよかったです」

　トランクスは慌てて誤魔化し、注文したハンバーグランチを再び食べはじめた。

　佳奈が視線を上げ、チラリとトランクスを見ると、その顔はほのかに赤くなっている。

　その顔に、佳奈も僅かに顔を赤くすると、再びスープマグに口を付けるのだった。