佳奈が笑顔で答えると、トランクスはホッとしたように

「よかったです」

　そう言って、安堵の笑みを浮かべた。

　向かいに座り、オムライスを美味しそうに食べる少女の姿に、トランクスは何とも言えない気持ちになっていた。

　オムライスの載ったスプーンを、口へと運ぶ仕草。

　両手でスープマグを持ち、スープを啜る仕草。

　食べた後に、自然と零れる笑み。

　まるで、小動物のような愛らしさを放つ佳奈にドキドキして、自分の食べている物に集中出来ない。

　初めて、異性と二人きりで、向かい合って食事をしている状況に、緊張しているらしい自分に

（……落ち着け、俺）

　そう言い聞かせ、自身の緊張を解すために話題を探していると、向かいから

「違う世界にいるなんて思えないです」

　クスッと、可笑しそうに笑う声が聞こえた。
　
　やはり、昨日とは違い、表情豊かな佳奈を見つめ

「そ、そうですか？」

　尋ねると

「はい。違和感を感じなくて」

　表情を緩めた佳奈は、すぐに

「あ……もしかしたら、私が変なのかもしれませんけど……」

　苦笑いを浮かべ、俯いた。

　朝食の時、佳奈はこの「地球」と佳奈の住む「地球」は、大差ないように感じると言っていた。

　そして、いま。こうして西の都を見て回り、その印象がより強くなったのだろう。

　そんな佳奈に

「違和感がない……。ということは、佳奈さんにとって、この地球は過ごしやすい。そういうことでしょうか？」