じっくりと、感慨深げに展示物を見ているトランクスに気付き、佳奈は進めていた足を止め、トランクスの元へ引き返した。

　展示物の説明を読むには読んだが、佳奈には何が書いてあるのかよく分からず、軽く読み流したところだった。

　しかし、トランクスはそれを、懐かしい物を見つけた時のように、愛おしそうに見つめている。

「トランクスさん？」

　ガラスケースの中の展示物が、トランクスにとって、どういう物なのか気になり、佳奈が声をかけると、トランクスはハッとしたように佳奈の方を向き

「あ……すみません」

　苦笑いを浮かべ、足を進めようとした。

　だが

「あの。それ、有名な物なんですか？」

　佳奈のその問いで、トランクスは進めようとした足を止めた。

『有名な物』

　どころの話しじゃない。

　その展示物は、トランクスの祖父であり、カプセルコーポレーション創始者でもある、ブリーフ博士が開発した、世紀の大発明品『ホイポイカプセル』の第一号だった。

　トランクスは現在の物より、存在感のあるカプセルを見つめ

「これは、俺の祖父の発明品なんです」

　と答えた。

　それを聞いた佳奈は、驚いて

「トランクスさんのお祖父さんの？！」

　瞳を大きく見開いた。

　身内に関わりのあるモノが博物館にあるなど、滅多にあることではない。

　佳奈は、展示されている、手のひらサイズ程の絵の具のチューブのようなモノを、じっと見つめた。