佳奈は、感激の声をあげた。

　そんな、佳奈の反応に

「佳奈さんのいた地球には、エアカーはなかったんですか？」

　朝食の時には聞かなかった「もう一つの地球」の新たな情報に、トランクスが興味を示すと

「ないです、ないです！」

　佳奈はブンブンと首を横に振り

「あの浮いてる車、エアカーっていうんですか！？　スゴい！！　あんな乗り物が普通に走ってるなんて！」

　また、車道を通り過ぎて行くエアカーを目で追った。

　まるで、初めてを体験する、子供のような無邪気さを見せる佳奈が微笑ましく

「乗ってみますか？」

　トランクスがそう提案すると

「えっ！？　乗れるんですか？！」

　佳奈は好奇心をくすぐられたようで、パァァッと、輝く笑顔を浮かべた。

　出会ってから、佳奈の表情はずっと影を帯びて俯きがちだった。

　だが、きっとこの笑顔こそ、本来の佳奈の顔なのだろう。

　トランクスは、佳奈の本当の姿を垣間見れたことが嬉しく、表情を緩めると、ジャケットの胸ポケットから、ホイポイカプセルを一つ取り出し車道へと投げた。

　突然、ボォォン！　という音と共に、白い煙が立ち込め、その中からタイヤの無い、赤い車体が姿を現わした。

「っ？！」

　何が起こったのか解らず、佳奈が声にならない声を出していると

「乗ってください」

　トランクスに乗車を促され、佳奈は目を丸くしたまま、恐る恐る、助手席へと乗り込んだ。