「あの……佳奈さん。佳奈さんの住んでいた『地球』の世界地図を描いてもらえませんか？」

　昂った笑顔で仮説を唱える母を遮り、トランクスは冷静な口調で、佳奈を見つめた。

　思えば、佳奈からは、地名を数ヵ所と、彼女の移動手段であった、電車の路線名くらいしか聞いていない。

　圧倒的に、佳奈の住んでいた『地球』についての情報量の少なさに、トランクスはまず、佳奈の住んでいた『地球』について、詳しく聞き取ることにした。



「私が住んでいた地球は、こんな感じです……」

　Ａ４サイズの用紙に描かれた世界地図を見て、トランクスとブルマは、感嘆の溜息を洩らした。

　そこに描かれていたのは、図鑑や文献などでも見たことのない、全く見覚えのない地図だった。

　これで「遥かむかしの地球から来た」という仮説は、なくなったと言っていい。

　二人は、佳奈の描いた地図を覗き込むように見ながら

「こんなに違うってことは、やっぱりこの地球とは別の星ってことかしら……」

「うん……。やっぱりそう考えた方がいいんじゃないかな」

　そう言って、ブルマ自身、自分が立てた仮説を否定しようとした。

　しかし

「……でも、待って。ってことは、佳奈ちゃんのいた『地球』は、やっぱり、この地球の未来の姿かもしれないわよ」

　やはり、自分の立てた仮説を諦め切れないらしく

「だとしたら、何か手掛かりがあるかもしれないし、調べてみるのもありじゃない？！」