それに、不安定だった気も安定し、抱きかかえている身体からは、温もりも感じる。

　トランクスは、回復しつつある少女を不思議に思い、ようすを窺う為、空中で立ち止まった。

　しばらくすると、段々少女の顔に赤みが差し、目元が僅かに動いた。

　それを見たトランクスは

「大丈夫ですか？！」

　少女の意識に届くように、声を掛けた。

　少し間を置きながら、二、三度声を掛けたところで、少女の意識に届いたらしく「ぅん……」と、小さな呻き声が漏れ、閉じられていた瞼が、薄っすらと開いた。

（気が付いた！）

　目を覚ました少女に、トランクスは安堵したが、意識はまだはっきりしていないようで、焦点の合っていない瞳が、トランクスに向けられている。

　そのまま、空中に留まり、少女の意識がはっきりするのを待っていると、ぼんやりとした表情で、自分を見つめる少女に、トランクスはこれまで感じたことのない何かを感じ、思わず少女から視線を逸らした。

（……何だ、この感覚……？）

　自分の中に生じた、得体の知れない感覚に、眉根を寄せていると

「こ、ここは……？」

　腕の中から、か細い声が聞こえてきた。

　意識がはっきりしたらしく、少女の方に視線を戻すと、瞳に光を取り戻した少女と目が合った。

　すぐに、驚いた顔を浮かべた少女に

「大丈夫ですか？」

　トランクスは警戒されないよう、努めて穏やかに尋ね

「目覚められて、安心しました」

　そう言って微笑んだが、少女は思い切り訝しんだ表情を浮かべた。