夕食時に聞いた話しで、佳奈の頭は見事にこんがらがっていた。

　タイムマシンにパラレルワールド。

　願いを叶えてくれる「ドラゴンボール」という不思議な球。

　本や映画の中でしか存在しないようなモノが、まさか現実にあるなんて……！

　異世界に来てしまったことを、まだ完全に受け入れられていない佳奈にとって、ブルマから聞いた話しは、更に信じられない話だった。

　だが、ブルマとトランクスのようすから、嘘を言ってるとも思えず、佳奈はただ黙って、ブルマの口から語られるファンタジーに、耳を傾けていた。

　そして、その時、ブルマは佳奈に選択を提示した。

　その選択――。

　それは、タイムマシンに乗って過去に行くか、ここに残るかというものだった。

　どうやら「ドラゴンボール」という球は「何でも」願いを叶えてくれる。というわけではないらしく、今回の佳奈のような願いは、叶えられるか不確からしい。

　そのため、トランクスと一緒に過去に行ったところで、無駄かもしれないということだった。

「もし、タイムマシンに乗って、別の世界にも行ってみたい！　って思うなら、過去に行って来てもいいわよ」

　ちょっと出かける。

　そんな軽い口調でブルマに言われたが、残念ながら、佳奈の好奇心はそれ程強くない。

　佳奈はベッドに寝転がり、天井を見つめ　
　
「帰れるなら、どっちでもいいよ……」

　正直な気持ちを吐露すると、そのまま身体を丸めて眠りに就いた。