長い睫毛。

　決して高いとは言えない、小さく可愛らしい鼻。

　そして、花びらのような、ピンク色の、ふっくらと艶のある唇。

　……まるで、天使みたいだな。　

　ポツリと心の中で呟いてから、いままで、これ程間近で、異性の顔を見たことがあっただろうか？　と自問した。

　そもそも、母や過去の仲間以外に、まともに異性と接したことがない。

　トランクスは、改めてそのことに気付くと、ベッドで眠る少女が、自分にとって貴重な存在のように思えた。

　見惚れるように、穏やかな佳奈の寝顔を見つめていると、段々、胸の奥で、何かが蠢くような感覚を覚えた。

　それは、抑えなければいけないモノだと直感的に解ったのだが、気が付くと手を伸ばし、また、佳奈の頬に触れようとしている。　

　しかし、手が佳奈の頬に触れる直前、佳奈の身体がモゾッと動き、トランクスは伸ばしていた手を慌てて引き戻した。

　それと同時に、佳奈の閉じていた目が、薄っすら開き、佳奈は眠りから覚めたのだった。

　寝起きで意識がハッキリせず、ぼんやりしている佳奈だったが、近くに人の気配を感じたらしく、驚いて上半身を起こすと、ベッドの傍でしゃがみ込んでいるトランクスに気付き、驚いた顔をした。

　そんな佳奈に

「あ、あの……！　す、すみません！！　夕飯が出来たので、呼びに来たんですが、返事がなかったので……！！」

　トランクスは慌てて、自分が佳奈の部屋に侵入している理由を説明した。