それだけ、このトランクスという青年が、これまでの人生を「地球の平和」というものに捧げ、自分のことなど後回しに生きてきた証拠だ。



「佳奈さん、夕飯の時間です」　

　深呼吸の後、トランクスはドアを軽くノックし、部屋の中の佳奈に声を掛けた。

　しかし、部屋からは何の反応も返ってこず、もう一度ノックをし、声をかけてみたが、やはり何の返事も返ってこない。

　おかしいな……。

　不審に思うと、すぐ、佳奈を森で見つけた時、酷く衰弱していたことを思い出し

　まさか、また具合が……？！

　トランクスは、慌てて壁のボタンを押すと、部屋に飛び込んでいた。
　
　部屋に入ると、佳奈は窓際に置かれたベッドに横たわっていた。

「佳奈さん？！」

　少女の姿を見るなり、トランクスは急いでベッドに駆け寄り、佳奈の顔を覗き込んだ。

　森の中で見つけた時のように、冷たくなっているのではと、不安が過る。

　すぐに、佳奈の頬に手を当てると、頬からは、しっかり温もりを感じ

「よかった……」

　トランクスは、ホッと胸を撫で下ろすと、頬から手を離し、その場に膝をついて、しゃがみ込んだ。

　自分が心配されてるなど、全く知らぬといったふうに、スースーと穏やかな寝息をたてて眠る佳奈を、トランクスは苦笑いを浮かべ見つめた。

　そして、自分に謎の感情を抱かせる、この少女を観察した。

　透き通るような白い肌に、艶のある、ミルクティー色の髪。