「そうよ！　ドラゴンボール……！　ドラゴンボールがあるじゃない！」

　声をあげた。

「過去に行って、過去の世界のドラゴンボールを使えば……！」

　名案！　とばかりに、トランクスに満面の笑みを向けたブルマだったが、すぐに

「あ……。でも、神龍への願い事って、時空を跨ぐなんて可能なのかしら？」

　右手を顎に添え、難しそうな顔をした。　

　そんな母の姿を見て

「時空を跨ぐ……？」

「？」という顔で、自分の言った言葉を繰り返す息子に

「だって、この世界と過去の世界は別の世界……パラレルワールドなのよ？　そんな別世界を跨ぐような願い、神龍が叶えてくれるかどうか……」

　ブルマは眉を寄せ、神龍が何でも願いを叶えてくれるわけではないことを、思い出していた。

　いくら「神龍」といえども、その力は万能ではない。

　いつもは、物事をポジティブかつ大雑把に考えてる母が、うーん。と唸っている姿に、トランクスは珍しいなと思いながら

「でも、少しでも可能性があるなら、ドラゴンボールを頼ればいいんじゃないかな？　出来るかどうか、俺が佳奈さんと一緒に過去に行って、神龍に確かめてみるよ！」

　トランクスは、そう提案した。

　佳奈を、何とか住んでいた地球に帰してあげたい。

　使命感のような、息子の思いに反対することも出来ず、ブルマは小さく息を吐くと

「そうね……。可能性があるんだものね。よし！　じゃあ過去に行って、神龍に聞いてらっしゃい。ダメだった時のことも考えて、私はこっちでもう一つの『地球』を探してみるわ」