この日も、いつもと同じように、森の中で仮想敵をイメージし、修行をしていると、微かに人の気を感じた。　　

　トランクスは、慌てて超サイヤ人の変身を解くと、森の奥から感じる、微かな気を窺った。

　さほど大きくないその気は、普通の人間のそれなのだが、不安定で、そのうち消えてしまうのではないかと思うくらい、とても小さくなってしまう時がある。

（これは……！？　マズイぞ！）

　トランクスは、その気を発している人物の身が、危険な状態であることに気付くと、その気を発している人物の元へと急いだ。

　弱々しく発せられる気を、何とか辿りながら、果てしなく広がる、広葉樹の間を駆け抜ける。

　近付いて来た証拠に、その気をより感じられるようになったトランクスは、広葉樹に囲まれた森の、更に奥へと急いだ。

　そして、少し開けた場所に辿り着いた時、そこに少女が倒れてるのが見えた。

　トランクスは、その少女に駆け寄ると

「大丈夫ですか？！」

　そう言って、うつ伏せに倒れている少女を抱き起した。

　見たところ、怪我はしていないようだが、身体は冷え、顔色は青白く、気は相変わらず不安定で危険な状態だ。

　トランクスは少女を抱きかかえると、真っ直ぐ空へ飛び、自身も、人造人間との戦いで世話になったことがある、西の都の病院へと向かうことにした。

　病院へと向かう途中、何故、この少女は、あの森の奥で、このような状態で倒れていたのかが気になった。

（独りで森に入って、迷ってしまったんだろうか……？）

　ふと、少女の顔に視線を落とすと、その顔色が、よくなっているように見えた。