すると、そこには視線を泳がせる自分がおり

「あ、あの……彼女は、その……どうゆう……？」

　そう尋ねてきた。　

　どうして、あんな可憐な少女がこの家にいるのか？　

　気になるのは当然だろう。

　別世界から来た自分の問いに

　……佳奈のことをどう説明すべきか？

　トランクスは、はぐらかそうか……？　とも考えたが、自分自身に嘘を吐くのも後ろめたく、佳奈について、正直に語ることにした。





　佳奈がこの家にいる理由を聞いたトランクスは、料理を食べる手を完全に止めていた。

　まぁ、別の宇宙にも「地球」という星があり、しかもその星は、人間同士の争いで、佳奈以外の人間は死に絶えてしまった。という、ショッキングな話しを聞かされたのだから仕方ない。　

　湯気が消え、冷めつつあるビーフシチューに視線を落としていたもう一人の自分は

「……佳奈さんは、大丈夫なんですか？」

　曇った顔を、こちらに向けた。

　その表情に対し

「やっと、元の彼女に戻りはじめてるところなんだ。だから……」

　そこまで言うと

「……そうですか。分かりました。余計なことは言わないようにします」

　自分が考えていることだから、よく分かっている。とばかりに、もう一人の自分は小さく頷いた。　

　そんな、もう一人の自分に、トランクスは「ありがとう」と弱い笑みを返し、もう一つの保温鍋に入っていた、蒸した白身魚を皿に取り分けはじめた。