そう自問するも、本当は、その答えを知っている気がした。

　だが、その答えに気付かぬフリをしながら、もう一人の自分がいる部屋に着くと、トランクスは心を整えるように、一度深呼吸してから、ドアをノックした。

　すぐに「はい」という返事が返ってきて、部屋に入ると、ベッドに座るもう一人の自分は、夕食を持って来た自分を見るなり、残念そうな顔をした……ような気がした。

　そんなもう一人の自分を見て、トランクスは「ああ。やっぱりか」予想が当たっていることに、密かに嘆息した。

　違う世界から来たとはいえ、自分は自分だ。

　自分が佳奈のことを好きなように、おそらく、目の前にいる自分も、会ったばかりとはいえ、佳奈に好意を持ったに違いない。

　ただ、本人に自覚があるのかどうか……。それは分からないが、いまこうして、もう一人の自分が、佳奈が来なかったことを残念に思っているのは間違いなさそうだった。

　佳奈と関わらせたくない。

　そんな独占欲から、奪うように、この役目を買って出た自分が、何となく子供じみたことをしているように思え

「食事を持って来たよ」

　と言う声には、バツの悪さが混ざっていた。

　ワゴンをベッドの傍に着け、トレイに載った夕食を、ベッドに座る自分に手渡すと、ベッドの上の自分は

「わざわざすみません。ありがとう」

　申し訳なさそうな笑みをこちらへ向けながら、トレイを受け取り

「わぁ、美味しそうだな」

　トレイの上の料理に目を細めた。