その話を聞いて

「セルだ……」

　そう呟く自分に

「セル？　あいつを知ってるんですか？！」

　トランクスは険しい顔を向けた。

「ああ、間違いない」

　頷くトランクスは、あの忌々しい敵の姿を脳裏に浮かべ、自分に「セル」の正体を話すのだった。





「あいつも、ドクター・ゲロが創った人造人間だったのか……！」

　セルの正体を知り、奥歯を噛む自分を見つめながら、トランクスは本来であれば、その世界の自分はセルに殺され、タイムマシンを奪われることを考えていた。

　自分からタイムマシンを奪ったセルは、過去の世界に行き、１７号、１８号を吸収。しかし、悟飯に倒される。

　だが、いま目の前にいる自分は、セルに襲撃されるも、ヤツを倒し、傷つきながらもタイムマシンに乗って、この世界に逃れて来たという……。

　ということは、自分たちの知らない世界線が出来てしまったということになる。

　このことによって、自分が考察した内容は有り得るということが示され、トランクスは自分がした「時間の操作」が、罪深いことなのだと、ようやく実感した。

　だが、タイムマシンを使って、父ベジータや師である悟飯たちが生きている、新たな世界を創り出してしまったことに後悔はなかった。

　途端に複雑な心境になり、トランクスが自分の思考の更なる深みに沈み込みそうになっていると

「それより、あんた。身体の方はどう？　そんなに酷い怪我はしてなかったみたいだけど……」

　ブルマの、我が子を心配する声がそれを遮った。