タイムマシンに乗ったトランクスが現れたことで、買い物どころではなくなり、時間が出来た佳奈は、家の掃除を買って出ていた。

　掃除と言っても、床は掃除ロボットによって行われるので、佳奈がするのは、主に上拭きや窓の桟などの細かい部分だ。

　とはいえ、この家は広い。

　一階の端から端まで終えるのにも半日はかかりそうで、実際、昼食までに、一階の半分程しか掃除を終わらせられなかった。

「佳奈ちゃん、掃除任せちゃって悪いわね」

「いえ。これぐらい……」

「別に今日中に全部屋終わらせなくていいから。ゆっくりやってちょうだい」

「はい」

　佳奈自身、何かしている方が余計なことを思い出したり、考えたりせずに済むので、掃除や料理などの家事仕事は気を紛らわすのに丁度よかった。

　トランクスもそれを解っているのか、佳奈が進んですることに口出ししようとはせず、見守りの姿勢をとっている。

　そんな息子の姿を、ブルマは一人、笑みを噛み殺し見つめていた。




　昼食後、トランクスの手伝いもあり、何とか一日で全部屋の掃除を終えようとしていた佳奈は、最後の仕上げとばかりに、自室の掃除に取りかかっていた。

　すると、隣りの部屋から物音が聞こえたような気がし

（もしかしたら、あの人が目を覚ましたのかも……？！）

　そう思い、自室を出て、隣りの部屋のドアをノックするも、返事は返ってこなかった。