自宅玄関を出るなり、トランクスは青い空を見上げた。

　真上を目指し、ゆっくりと昇る太陽は、今日も、ようやく復興を遂げたこの星を、暖かく照らしている。

　破壊と殺戮の限りを尽くした、人造人間１７号と１８号、そして、セルを倒して数年。

　地球は平和を取り戻し、人々は皆、穏やかな日々を送っていた。

　しかし、数ヵ月前。

　地球に封印されているという「魔人ブウ」復活を目論む、魔導士バビディと暗黒魔界の王ダーブラという悪が地球を訪れ、この星の平和は、再び脅かされた。

　界王神シンと、その付き人であるキビトの助けで、トランクスは何とか「魔人ブウ」復活を阻止したが、また何時、地球の平和を脅かす存在が現われるか分からない。

　その時のことを考えると、トランクスは、日々の自己鍛錬を欠かすわけにはいかず

（やっと掴んだ平和を、もう二度と手放しはしない！）

　そう心の中で決意を呟き、今日も、自宅であるカプセルコーポレーションから、自己鍛錬の場としている、西のエリアの外れにある森へと向かうのだった。



　修行の場となっている森は、西の都上空を通過して、十分程飛んだ場所にある。

　むかしは、ハイキングやキャンプなどのレジャー地として人気だったそうだが、人造人間の出現でレジャーどころではなくなり、森に人が寄り付くことはなくなっていった。

　そして、平和になったとはいえ、まだ、レジャー地として再興するには至っておらず、この森に人が訪れることは、いまでも滅多にない。

　そういうわけで、トランクスは自宅から近いこの森を修行の場とし、毎日のように通っていた。