「ううん」

　ソラはそう言って、首を小さく横に振り、トランクスを見上げた。

　幸せそうに微笑む、ソラの顔につられ、トランクスも目を細めていると

「今日はね、ロールキャベツを作ったの！　美味しく出来たから、楽しみにしてて！」

　ソラは、トランクスに満面の笑みを向け、その手を取り、リビングへと向かった。

　何だかいつもとようすの違う妻を訝しみつつ、彼女に引っ張られるまま、リビングに入ると

「でも、ご飯の前に……」

　ソラはそう言って、トランクスをソファに座らせ

「今日も一日、頑張ったご褒美をあげるね」

　そう言って、自分もトランクスの隣りに座った。

　ソラの言葉に、トランクスが目を丸くしていると、ソラは両膝をポンポンと軽く両手で叩いた。

　どうやら、膝枕を促しているらしく、ソラは照れの混じった笑みを浮かべている。

　いつもとようすが違ったのは、これか。

　合点がいったトランクスは、妻の意図に従うことにし、ソラの膝に頭を預けた。

　柔らかい太ももの感触に、今更だが妙な照れを感じ、落ち着かないでいると、ソラに優しく頭を撫でられ、トランクスはその心地よさから、全身が軽く震えた。

　まるで、子供をあやすかのように、繰り返し、自分の頭を優しく撫でる妻からは、労わりの心が感じられる。

　トランクスは胸の中が、何とも言いようのない、甘酸っぱい気持ちでいっぱいになってきて、自然と口元が緩んだ。

　俺……愛されてるなぁ。