お互い、報われないキラへのアプローチを思い返しながら、攻撃を繰り出していたが、そのうち、怒りよりも虚しさの方が勝り、同時に溜息をつくと、二人はそのまま、その場に座り込んだ。

　茜色に染まった空を見上げながら

「いつになったら、キラさんは俺たちの気持ちに気付いてくれるんだろう……」

　トランクスがポツリと呟くと

「ああ……。ここまで鈍いと、わざとじゃないのかと疑ってしまうな……」

　ブラックも、ぼやくように呟いた。

　肩を落とし、盛大な溜息を吐く二人の男の背中を、オレンジ色の夕日が励ますように包んでいる。

　その姿を見て

「まったく……何やってんのかしら」
「……見ていて、痛ましいな」

　憐れみの言葉を漏らしたのは、ブルマとザマスだった。　

　トランクスとブラックの、あからさまな恋心を、いまや知らない者などいない。

「もう半年経つのよ？　なのに、互いに何の進展もないなんて、そんなことある？」

　眉を寄せるブルマに

「キラは私たちの想像以上に、鈍いようだな……」

　ザマスは、小さく息を吐いた。

「こうなったら、後は力技でやるしかないんじゃない？」

「おいおい。それは、あまりにも乱暴な意見だな」

　苛立つブルマを、ザマスはそう言って諫めつつも、それが最後の手段になるだろうことは、納得していた。

　だが。ブラックとトランクスがそんな暴挙に出るとは思えず、ザマスはこの恋の戦いは長期戦になるだろうと想像し、キラを巡る二人の恋の戦いを、静かに見守る覚悟を決めるのだった。
　


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