椅子から立ち上がり、教室を飛び出すと

「トランクス君、どうしたの？！」

　俺を取り巻いていた女子たちから、驚く声があがった。

　
　
　ユメのいる、一年の教室に行ったけど、そこにユメの姿はなくて

　いない……！？　クソッ！　何処行ったんだよ？！

　密かに、拳を握った。

「なあ、ユメは？！」

　教室の出入口近くにいた、ユメのクラスメイトに尋ねると

「ユメなら、さっき二年の先輩に呼び出されて、行っちゃいましたけど……」

　そんな答えが返ってきて

　クソっ！

　俺は心の中で大きく舌打ちし、ユメの気を探りながら、校内を探し回った。

　校内を探し回り、やっと見つけたユメの小さな気は、学校の上の方から感じた。

　屋上か！？

　ユメの居所を突き止めると、俺は屋上へと急いだ。

　ユメを取られるかもしれない……！

　頭の中は、そんな焦りと怖れで一杯だった。

　勢いよく屋上の扉を開け、ユメの姿を探す――。

　と。前から、明らかに、肩を大きく落とした男が歩いて来た。

　瞬間的に、こいつがユメを呼びだしたヤツだって分かり、俺はそいつとすれ違いで、ユメのところに向かった。

　走って、屋上にある倉庫の裏に行くと、そこには思った通り、ユメがいて、フェンス越しに、青い空を見上げてる。

　陽に照らされ、キラキラ輝く髪。

　長い睫毛。

　通った鼻筋。