パーティーの夜から３カ月――。

　あの日から、トランクスとは逢えずにいた。

　会社に行けば、彼の存在を遠くから見ることは出来た。

　でも、私との仲はもちろん秘密。

　だから、仕事の時は他の女子社員の子たちと同じように振舞っていた。

　そう。職場では私だけの「トランクス」じゃなかった。

　彼は「カプセルコーポレーション」という、世界的大企業の社長で、特別な人だった。

　そして、そんな彼が多忙なことはよく分かっていた。

　それでも……恋人なんだから、電話ぐらいくれてもいいじゃない……！

　そう何度も心の中でトランクスを責めた。

　私から掛けたことはもちろん何度かある。

　でも、彼から掛ってくることはなかった。

　いつも私の携帯電話に届くのは「ゴメン」から始めるメールだけだった。

　その文面を見る度、胸が痛くなった。

「分かってる、分かってる……」

　自分に何度も言い聞かせ、多忙な彼の邪魔にならないよう、彼の負担にならないよう我慢した。

　でも「もしかしたら、忘れられてるんじゃないの？」とか「私よりいい女（ひと）が現れたんじゃないの？」とか……。

　そんな不安ばかりが募っていき、心の中はすぐに寂しさでいっぱいになった。

「彼には私しかいないわ！」

　と言い切れる自信があれば、どれだけ楽だっただろう。

　普通の恋人たちのように、週末にデートをしたり、愛し合ったり出来ないことぐらい分かっていた筈なのに……。

　トランクスの彼女であるというだけで、嬉しくて、幸せだった筈なのに……。

　あまりの寂しさと不安から、私の心はとうとう崩れ始めた。