そんな蓮に、修行から逃げ続けているトランクはバツが悪くなった。

　同じ人間とはいえ、平和な時代に育った自分は強くなりたいという執念がない。

　しかし、もう一人の自分は違った。

　強さへの執着があり、日々の鍛錬を欠かさない。

　そして、そんなストイックなもう一人の自分と、天津飯の組み手を見つめる蓮が、目をキラキラさせているのが悔しくて仕方がないのだった。




「お邪魔しました！」

「また遊びに来てちょうだい！！」

「はい！　ありがとうございます」

「じゃ、あんたたち、蓮ちゃんをしっかり送って行くのよ！　二人揃って悪さしちゃダメよー」

　ニヤリと笑う顔に、二人のトランクスは頬を染めつつ、顔を引き攣らせた。

　陽がだいぶん傾いた街を歩きながら

「一人で帰れたから、送ってくれなくてよかったのに……」

　蓮が両隣りのトランクスを交互に見ると

「だいぶん暗くなってきたから、蓮ちゃん一人じゃ心配だからね」

　少し大人なトランクスはそう言うと、蓮の右手をキュッと握った。

　そんなさりげないスキンシップをとるもう一人の自分にイラッとしながら

「そうそう。蓮は何か危なっかしいからな」

　と、トランクスが拗ねたように言うと

「もう！　子供じゃないんだから……」

　蓮は、いつも少し意地悪なクラスメイトに口を尖らせた。

「はいはい。分かった分かった」

　そう言いながら、トランクスが蓮の頭をポンポンと叩くと