あるところに、赤いずきんを被ったメディカという女の子がおりました。

　みんなはメディカのことを、親しみを込めて「赤ずきん」と呼んでいました。

　ある日、メディカは毎日忙しいおばあさんの様子を見るために、おばあさんの家に行くことになりました。

「さぁ、赤ずきん。おばあさんにこのスープと饅頭さ持っててけれ！」

「はい、お母さん！」

「だども、本当に一人で大丈夫け？　おばあさんの家に行く途中にある森さ、恐いオオカミさ出て来て人さ食べちまうらしいべ、オラ心配だ……」

　と、お母さんは不安気に言いました。

　しかし、メディカは

「大丈夫よ！　子供じゃないんだから心配しないで！　それじゃあ、行って来ます！」

　そう言うと、一人で家を出たのでした。

　赤ずきんが足取りも軽く森の中を歩いていると

「あれ？！　君、赤ずきんちゃんだよね？　ねぇ、今からどこ行くの？」

　と、声を掛けられました。

　赤ずきんが声の方を向くと、そこには悟天オオカミが立っていました。

　すぐにお母さんが言っていた「恐いオオカミ」のことが浮かびましたが、とても「恐い」とは思えず

「おばあさんの家に行く途中なの」

　そう答えると

「へぇ、おばあさんの家かー。……ねぇ、少し寄り道出来ない？　少し先に最近カフェが出来たんだよね。そこでお茶でもどう？」

　と、悟天オオカミは人懐っこい笑顔で誘ってきのです。

　しかし

「ごめんなさい。私、急いでるから……」

　赤ずきんはそう言って断ると、おばあさんの家へ向かって歩きだしたのでした。