「おまえたち、娘に何か用か？」

　ベジータの第一声はそれだった。

　腕組みをして鋭い眼で睨みをきかせ、しかも海の上に浮くその姿に、ジェットスキーに乗った２人の男はあ然としている。

　ポカンと口を開ける男たちを無視して

「パパ、ブラもジェットスッキーに乗りたいわ」

　と、ブラがねだると

「ブルマが持っているから、それに乗せてやる」

　ベジータは表情を変えることなく、男たちを見据えながら、ブラのおねだりに答えた。

「じゃあ、パパが操縦してね！」

　可愛らしい小悪魔の様な微笑みを向ける娘に「ああ」とだけ答えると

「そういうことだ。だから、おまえたちはさっさと消えろ」

　そう言って、ベジータは拳を真下に下ろすと、２台のジェットスキーの間の海が大きく裂けた。

　その信じられない状況に、男２人は「ヒィィッ！！」と情けない叫び声を出すと、慌ててジェットスキーのエンジンを掛け、沖の方へと走り去って行ったのだった。

「もう！　パパったら！！」

　不機嫌な声の方に視線を遣ると、海を割った衝撃でフロートマットから海へと落とされたブラが、眉を吊り上げていた。

　その横では、メディカが笑いを堪える様な顔をしている。

　何に対して笑いが込み上げているのか？

　ベジータと同様、海の上に浮かぶトランクスが彼女の表情を観察する様に眺めていると

「フン。文句なら、さっきの奴等に言うんだな」

　ベジータはそう言って、くるりとビーチの方へと向きを変えた。

　すると

「あ！　ちょっとパパ！！　ブラ、喉が渇いたからすぐビーチに戻りたいの。だから、一緒に連れて行って！！」