「本能」と「プライド」

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 大幅にリニューアルされた動物園は、むかしの様に動物を狭い檻に押し込めたものとは違っていた。

 室内に作られた草原や岩場、水辺のある広大な場所で、動物たちが自由に動き回る姿が展示されている。

 他にも、オウムやインコなど小型の鳥、リスやウサギなどの小動物は、柵の無いエリアに放され、直接餌を与えたり、触れ合える様にもなっているらしい。

 この、動物の自然な姿や特徴を分かりやすく展示する「行動展示」という方法が、この動物園の売りというのが、リニューアルした当初から話題になっていた。

 そして、この手法に隣りの彼女も満足らしく、笑顔で楽しそうに園内を回っている。

 トランクスは今日1日、この笑顔をずっと独り占めにしていることに表情を緩ませていた。

 揺れるポニーテールと、ロングのふんわりとしたスカート姿の彼女に癒され、幸せな気持ちに浸りながら園内を歩く。

 2人で色々な動物を見ては感想など言い合い、次に動物と触れ合えるエリアへと入ると、そこは南国の雰囲気が漂っていた。

 椰子の木やゴムの木にソテツ。鮮やかな花を付けたハイビスカスやブーゲンビリアが両側に咲く通路を歩いていると、広場のような場所に妙な人だかりが出来ていた。

「何だろう?」

 2人で顔見合わせ、その人だかりに混ざって見た光景に「うっ……!」と、トランクスは固まってしまった。

 その、ぐるりと人々が囲んだ真ん中にいたモノ……。

 それは今まさに、交尾中の2頭のゾウガメの姿だった。

 メスの後ろから覆いかぶさる様に、子孫を残そうと頑張るオスの姿を、人々は様々な表情を浮かべ身守っている。
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