今日は、２人が「恋人」という関係になってから初めてのデート。

　メディカが当直の時などに、トランクスが病院の屋上まで逢いに行くことはあったが、なかなかお互い予定が合わず、やっと今日、１日中２人で過ごせる日が訪れたのだ。

　いつものメディカの住むマンション近くの公園、球体オブジェの前で、待ち合わせの時間よりも早く着いたトランクスはメディカを待ちながら

「続きは今度ですね……」

　と呟いた、彼女の台詞に期待していた。

　そして、もちろんそれを遂行する為に必要な、母から渡された小瓶に入ったカラフルなアイテムも、肩にかけたトートバッグの中にしっかりと忍ばせてある。

　メディカの休憩時間の間だけという短い時間の中で、抱きしめたり、キスをしたり、触れるだけという悶々とした日々―。

　この「お預け」とでも言うべき日々にやっと終止符を打つ日が訪れたのだ。

　そう思うと、トランクスは己の欲望を胸に、メディカが来るのをそわそわしながら待つのだった。




　西の都の湾岸エリアにある水族館と動物園を併設するテーマパークが出来たのは、随分むかしのことだ。

　子供の時に、祖父と祖母に連れて行ってもらった記憶がトランクスにはあったが、久しぶりに訪れたそこは、記憶の中のモノとは随分と変わっていた。

　白と青を基調にリニューアルされた水族館は、魚たちが優雅に泳ぐ巨大なアクリルパネルや薄暗い深海魚のコーナー、浅瀬に生息する生き物などが展示されている。

　そんな水族館を楽しく回り、次に２人は隣接している動物園へと向かった。