思いつきだと思われたのだろうか……。

　いや……実際思いつきなのだが……。

　トランクスは、まさかメディカにプロポーズを断られるとは思わず、かなり凹んだ状態でカプセルコーポレーション本社へ帰って来た。

　久し振りの逃亡に秘書はご立腹だったが、帰って来た若社長の打ちひしがれる姿を見て怒る気は失せてしまったようで、社長の留守中にかかってきた電話の内容だけ伝えると、社長室を出て行った。

　そんな秘書からの用件を、一応頭の片隅に留めると、トランクスはデスクに座ったまま遠い目をし
　
『急にそんなことを言われても……！』

　と、困惑と怒りとが混ざったような、メディカの表情を思い出していた。

　彼女に言われたからと、三ヵ月も逢いに行かず放置した挙句「結婚しよう」というのは、あまりにも突然過ぎただろうか……。

　だが、メディカと結婚したいと望んでるのは本当のことで、もし彼女が「はい」と頷いてくれていたならば、明日にでも結婚式を挙げたいくらいだった。

　ああ……。次メディカに逢う時、どんな顔して逢えばいいんだ……。

　……それより、逢ってくれるかな……。

　トランクスは机に突っ伏すと、己のしでかした軽率な行動をひたすら後悔した。




　メディカから電話がかかって来たのは、その日の夜――夕食後、部屋で寛いでる時だった。
　
　いつもならすぐに電話に出るところだが、今日は躊躇ってしまう。

　電話の用件が、昼間のプロポーズについてであることは間違いないだろう。

　彼女は何を言うのだろうか……。