舞空術でメディカの元へ向かいながら、トランクスは携帯電話でメディカを呼び出し続けた。　

　平日昼間のこの時間は、きっと診察中で電話に気付かないだろう。

　だが、それでもトランクスは少しでもメディカの近くに行きたかったし、電話に気付いてくれることに賭けた。

　虚しく鳴るコール音を聞きながら、トランクスは西の都の病院の屋上に下り立つと、心の中で念じながらまた電話をかけ直した。

　メディカが電話に出たのは、トランクスが電話をかけてから一時間以上経ってからだった。

　コーヒーブレイクに入ろうとしたメディカは、着信に気付くなり急いで屋上に上がってきた。

「トランクスさん！」

　息を切らして屋上にやって来たメディカを見るなり、トランクスは周りに人がいることなど気にもせず、メディカに駆け寄るとそのまま抱きしめていた。

「ト、トランクスさん？！」

　驚く声が聞こえたが、トランクスはギュッとメディカを抱きしめ、長らく逢っていなかった愛しい彼女の存在を確認した。

「ど、どうしたの……？」

　耳元でする驚きと恥ずかしさが混ざった声を聞くと、トランクスは腕に閉じ込めていたメディカを解放し、そのままメディカの両肩をギュッと掴むと

「メディカ、結婚しよう！」

　黒く澄んだ瞳をじっと見つめた。