『メディカちゃん、すごく親しそうに話してたな～。あの二人、周りから見たら完全にカップルって感じだったよ』

　見た光景を思い浮かべながら話す悟天を思い出し、トランクスは眺めていた決裁書類に力を込めた。

　メディカが他の男と……？

　いや、メディカに限って浮気なんて……！

　焦りとメディカへの猜疑心で、トランクスの胸の中はここ数日、黒いもので溢れ返っていた。

　そのせいで、仕事中もずっと上の空だ。

　そして、それと同時に

『お姉ちゃん我満するの得意そうじゃない。本当は色々我慢してるかもしれないわよー。あんまり我慢させ過ぎるといつか爆発しちゃうかもしれないから気を付けてね。そうなったら、お兄ちゃんから離れて行っちゃうかも』

　や

『そうかもしれないけどさ。そんな大変な時だからこそ、メディカちゃんはトランクスに逢いたいって思うし、逢いに来て欲しいって思うんじゃないかなぁ』

　という、先日のブラの発言や悟天の言葉が頭の中を過った。

　……本当は、メディカは俺に逢いに来て欲しかったのかな……。

　メディカの意思を尊重するなどもっともらしいことを言ったが、メディカの言葉をそのまま捉えることしかしなかった自分に嫌気が差した。

　彼女が、甘えたくても素直に人に甘えられない性格だというのは知っているはずなのに……。　

　そして自分自信も、逢いたい気持ちを押し込めていたことを深く後悔すると、居ても立っても居られず、トランクスは久しぶりに社長室の窓から飛び出していた。