「そっか。そんなふうに思ってもらえるなんて羨ましいな。妬けるよ」

　そう言うと、彼はまた可笑しそうに笑った。



「今日は突然だったのに来てくれて嬉しかったよ」

「ううん。この間の学会が終わるまでずっと詰めてたから……。久し振りに気分転換出来てよかった」

「そっか。そう言ってもらえてよかった。じゃあ、今度メディカが学会で発表した後は、俺のいる村まで気分転換に来たらいいよ。自然いっぱいだから、きっと気に入るから」

「ええ？　ちょっと遠過ぎ」

「仕方ないな。じゃあ、サタンシティならどう？　あの街なら、そんなに遠くないだろ？」　

　彼は冗談ぽく笑ってから
　
「メディカは自分を追い込み過ぎるところがあるから……あんまり根詰め過ぎないように気をつけろよ。あと……我慢し過ぎるんじゃないぞ。たまにはその素敵な彼氏に甘えろよ」

　彼は少し寂しそうにニッと口角を上げると、メディカの頭をポンポンと優しく撫で

「じゃあ、ホテルに戻るよ。明日も仕事だろ？　頑張れよ。……おやすみ」

　そう言って、メディカから離れて歩き出した。

　メディカは、多分もう会わないだろう彼の後ろ姿を、少し名残惜しい気持ちで見つめるのだった。