そんなメディカを見つめながら、トランクスはメディカの父クリニクが、何故自分を懐かしそうな眼差しで見つめてくるのかという疑問にやっと合点がいき、安堵した。

　ずっと、自分に向けられる、あのクリニクの好意が不可解で気になっていたのだ。

　まさか、天下一武道会少年の部で優勝していた事を覚えている人物が、仲間以外にいるとは思ってもみなかった。

　しかも、それがメディカの父親だとは……。

　何故、彼女の父親が自分を好意的に見てくれているかの謎が解け、トランクスは思わず口元を緩ませた。

　これは、とんでもなく都合の良い事ではないだろうか―。

「彼女の父親からの評価」という、男側からしたら目の前に立ちはだかる最大の難問をすでにクリアした様なものだ……！

　そんなことを思い、心の中でガッツポーズをし、ゆるゆるした顔を１人浮かべていると

「ちょっと……。あんた何１人でニヤニヤしてるのよ？」

　怪訝な顔を母に向けられ、トランクスは慌てて「な、何でもないよ！」と、作り笑いを浮かべると

「やっぱり、母さんの作ったバーベキューソースは美味しいよ！」

　と、誤魔化す様に、串に刺さった肉にかぶりつくのだった。