取引先への訪問がこんなにスムーズに終わるなんて！

　今日は何ていい日なんだ！！

　やっと……今日こそメディカに逢えるかもしれない！

　トランクスはリムジン型のエアカーに乗り込むなり、久し振りに愛しい彼女と過ごせる夜を想像し、喜びを噛み締めていた。

　そんな上司に気付いているのか、いないのか……カプセルコーポレーション社長秘書は

「社長、本日の予定はこれで終了となっております。社の方からも特に急ぎの連絡はありませんでしたので、今日はこのままお帰りになりますか？」

　タブレット型の手帳を確認してから、本日の勤務終了を口にした。

　言われずとも、そのつもりでいたトランクスだが

「そうか……。それじゃあ、今日はこのまま帰らせてもらうことにしようかな」

　少し考えたふうを装ってからそう答えると、隣りから「かしこまりました」と、丁寧な答えが返ってきた。

　

　自宅に着いたのは、午後七時を少し過ぎたぐらいだった。

　こんな時間に帰れるなど本当に久し振りのことで、トランクスはリムジン型のエアカーが走り去るとすぐにそのまま空へ向かって飛んでいた。

　まだオレンジが残る空を飛びながら、トランクスは愛おしい彼女が帰って来るだろう、マンションの近くに降り立った。

　研修医として働く彼女の帰宅時間は、最近担当科が変わったこともあり、夜八時前頃と早くなっている。

　何の連絡もせず、マンションの前でこうして待っていたら、彼女はどんな顔をするだろうか？

　愛しい彼女の驚く顔を想像しながら、トランクスは悪戯な笑みを浮かべた。