「その決勝戦観たかったなー」

　残念そうなメディカに

「残念だけど、あの時の映像って残ってないんだよねぇ。ま、今更トランクスに負けたところなんて観たくないけどさ」

　面白くなさそうに悟天はそう言うと、肉を口の中へと放り込んだ。

「少年の部ねぇ……。そんなものがあったら、私だって優勝してたはずよ！」

　パンが悔しそうに頬を膨らませるのを

「えっ？！　パンちゃんも出場したことあるの？！」

　メディカはあ然とする様に、目を見開いた。

「今もだが、一番ヤル気があるのはパンちゃんだべ。確か、パンちゃんが初めて天下一武道会さ出たのは４歳くらいだったな？　大人に混じってたから、さすがに優勝は出来なかったけど、もし少年の部があれば優勝間違いなしだっただ！」

　チチが自慢気に言うのを

「そ、そうなんですか……」

　と、メディカは感心するように頷いていた。

「ふふ。パン、次の天下一武道会はどうするの？　出場してみる？」

　意地悪そうに笑う母ビーデルに、パンは眉を寄せ

「もう！　私はレディなんだから、武道大会なんて出ないんだから！」

　と、強く言いきるのだった。

　パンはもう１１歳。お洒落に目覚め、男の子とデートをしたり、友達とお喋りしたり……年頃の女の子なのだ。

　強くなりたいとは思うが、それを公にはしたくない。という話しをパンがしていたのは、昨年の夏にパオズ山に泊まりにいった時だったか。

　そんな複雑な乙女心を知ってのビーデルの意地悪発言に、メディカはクスリと小さく笑みを零した。