ふと、そう思うと、目の前の彼が途端に不憫に思えてきた。

眉目秀麗。社会的地位もあり、非の打ち所がない。

どこに居ても目立つだろうそんな彼を、周りが放っておく筈がない。

だが、しかし―。

彼が持っている富や地位にばかり目を奪われ、純粋に彼を１人の人間として見てきた者は、今までどれだけいたのだろう。

メディカの頭の中をそんな思いが駆け巡り、寂しそうに浮かべるその笑みを見つめるうちに、気付いた時には地面に置かれたトランクスの右手に自分の左手を重ねていた。

驚いた様に目を開き、こちらを見るトランクスに、メディカは重ねた手にキュッと力を込め

「私も、もっとトランクスさんのことが知りたいです。」

そう言って弱い笑みを向けると、トランクスの胸はグッと締め付けられ、思わず重ねていた細く白い指に自分の指を絡ませ

「メディカさん・・・。」

と、隣りに座る愛しい##RUBY#女性#ヒト##の名を呼んでいた。

そして、距離を縮ると同時に絡ませた指に力を込めると、途端に甘い緊張感が2人を包み込み、近付いてくるその瞬間にトクントクンとメディカが胸を高鳴らせていると

「トランクスーー！メディカせんせーー！！」

と言う、明るく元気な声が空から突然降ってきて、２人は重ねていた手と近付いていた距離を、慌てて離すのだった。

「ここにいたのね！って・・・どうかしたの？」

地上に降り立った少女が不思議そうな顔をするのを

「な、なな何でもないよ！！」
「そ、そうよ！何でもないから！！気にしないで！！」