午後の暖かい日差しが入り込む部屋で、いつの間にか眠っていたらしく、トランクスは上体を起こすと部屋の中を見回した。

隣りでは、同じように眠りこけている悟天の姿があり、お互い久し振りの修行で疲れが出たのかと思うと、自分に呆れてしまった。

起き上がり、悟天を起こさないように静かに部屋を出てリビングへ向かうと、母たちがダイニングで談笑していた。

だが、そこにはメディカの姿はなく

「あれ、メディカさんは？」

そう尋ねると

「何よ、来るなり。気になるなら、一緒にいればいいじゃない？」

ニヤーっとした緩い顔を向けられ、頬を染めていると

「メディカちゃんなら、この辺りを歩いてみたいって、散歩に行ったわよ。」

茶化し茶化される親子の様子に、ビーデルが楽しそうに微笑みながら答えると

「そっ、そうですか・・・！あの、その・・・俺も、ちょっと行って来ます。」

そう言って、家を出て行くトランクスに

「はいはい、行ってらっしゃい。」
「トランクス、頑張るだぞ！」

と、ブルマとチチはそれぞれエールを送り、ビーデルはその様子に笑いを堪えるのだった。





高い空に、流れる雲。

所々枯れ草が混じる何もない広い原っぱ。

聞こえるのは、頬を撫でる秋の乾いた風の音と鳥の声。

この世界に一人きりだと思わせるような静かな景色の中で、メディカは原っぱに寝転がり、ただ空を見つめながら

「トランクス君て、恋愛には奥手みたいだから。」

という、ビーデルのさっきの言葉を思い出していた。