思い出す様に視線を上に向けてから

「その頃のトランクス君て、すっごく生意気でね。ホントにお金持ちの我儘なおぼっちゃんて感じだったのよ。凄くやんちゃだったし。」

思い出してクスクスと笑い

「でも、ブラちゃんが産まれてからかな。すっかりお兄ちゃんになっちゃって。それに、あのカプセルコーポレーションを継がなきゃいけないっていう、自覚が出てきたのもあるかもしれないわね。」

そう言い終えると、ビーデルはコーヒーを一口飲み込んだのだった。

生意気で、お金持ちの我儘なおぼっちゃん・・・。

まったく現在の彼からは想像出来ず、メディカが呆けた様な顔をしていると

「ふふ。想像出来ないでしょ？」

そう聞かれ「はい・・・。」と答えると

「私もそんなトランクス君が、あんな素敵になるなんて想像出来なかったわ。人って何がきっかけで変わるか分からないわね。」

噛み締めるように笑うと、次には

「そんなトランクス君を知ってるから、悟天君はトランクス君だけがモテることに納得出来ないみたい。」

と可笑しそうに笑うのだった。

そして、ビーデルはコーヒーをまた一口啜り終えると

「でも、トランクス君て、恋愛には奥手みたいだから。勿体ないわよね。」

そう苦笑いするビーデルに、メディカは思わず「えっ・・・？」と漏らしていた。

そう言えば、特定のガールフレンドはいないと言っていたが、それはそういうことでなのか？

メディカはそれを聞くと、先日のデートで言われた「メディカさんだけですよ。」という言葉と、あの時の胸の高鳴りを思い出すのだった。