病室のドアをノックすると〝シュッ〝とドアが開き

「まぁ、トランクス君。久し振りね。」

そう言って、トランクスを出迎えてくれたのはタブレ会長の娘だった。

娘と言っても、もう５０歳を超えているくらいの年齢だが、醸し出す品の良さと落ち着いた雰囲気が母ブルマとは正反対で、心の中で思わずクスリと笑ってしまう。

「おぉ、トランクス君。」

その声にベッドへと目を向けると、そこには横たわる会長の姿があった。

少し声は掠れているが、顔色は思いのほか良く安心する。

「会長・・・お加減は如何ですか？」

そう言ってベッドに近付くと、そばにあった椅子を勧められ腰を下ろした。

「いや、大したことはないよ。あと1週間もすれば退院出来るそうだ。」

「そうですか。良かった・・・！」

「君も忙しいだろうにわざわざすまないね・・・。」

「何をおっしゃるんですか。会長が倒れたと聞いて、びっくりしたんですよ！」

「ハハハ。私自身が一番びっくりしたよ。これまで、病気らしい病気はしてこなかったからね。・・・でも、今回のことでこれからのことを考えさせられたよ・・・。私も、そろそろ引退を考えなければいけない時かもしれないな・・・。」

そう目を細めると

「もう、君の様な若い人達に任せてみるのもいいのではないかと、そう思うんだ。」

そう薄い笑みを浮かべる会長に

「お父様、出来もしないことを言わないで頂戴。」

そう言って口を挟んできた娘に、ハハハと笑いながら

「そうだな。私にはきっと無理だろうな。」

そう苦笑いする会長に、トランクスは笑みを浮かべるのだった。