ただ果てしなく広がる海の上を飛び続ける中、隣りに座る彼女は飽きもせず、ずっと眼下に広がる海を眺めている。

その様子に

「メディカさんは、海が好きなんですね。」

チラリと横目で尋ねると

「はい、好きです。・・・でも、いつも遠くから見るだけで、ビーチとか・・・近くまで行ったことはないんです。泳いだこともありませんし。」

と、眉を寄せ「変ですよね、それで海が好きって・・・。」と微笑み答えるその表情は、どこか寂しさを含んでいる様に見えた。

何か触れてはいけないことを聞いてしまった様な気がして、トランクスが言葉を探していると

「だから、今日は楽しみにしてたんです！」

そう言ったメディカの顔からは、先程の寂しさは感じなかったが、トランクスの胸には小さな針が刺さった様に、思わず表情を曇らせるのだった。

先程の寂しそうな笑顔の理由を聞くことも出来ず、違う話題に変えようと口を開きかけた時

「トランクスさんとなら、大丈夫な気がするんです・・・。」

そうポツリと呟いたメディカの、憂いを帯びながらも微笑み俯く表情が視界の端に映り、胸がキュッとなってしまった。

（・・・俺はメディカさんに頼られているんだろうか？）

意中の彼女からそんなふうに言われ、トランクスは曇っていた表情を赤く染めると

「俺でよければ、メディカさんが行きたいところ、どこでも付き合いますから！」

と操縦桿を強く握り、メディカはその発言に目を見開いたが、すぐに「ありがとうございます。」と微笑み返し、全身を熱くさせるのだった。