メディカは先月から担当が代わり、小児科から整形外科の担当となっていた。

小児科の時と違い、担当する患者に命に関わる様な重い病を患っている者がいない為、気を張り詰める様な毎日からは解放され、比較的穏やかな日々を過ごせる様になっていた。

しかし、あの３ヵ月前の辛い出来事は決して忘れられるものではなく、思い出す度に苦しくなった。

だが、その度にトランクスからの励ましの言葉を思い出し、自分を叱咤し、医師という仕事に精一杯取り組もうという前向きな気持ちになれるのだった。

そして、もう逢うことなどないだろうと思っていた彼との再会に「また逢えるかもしれない。」という期待で胸を膨らませ、メディカは毎日を心弾ませ過ごしていた。

今日も午後からの回診で、あの少女のいる病室へ行くと「メディカ先生！」と笑顔で迎えてくれる彼女の腕の中には猫型ロボットがいた。

腕の中のルルにトランクスを思い出し、表情を緩めていると

「ねぇ、先生。あのお兄ちゃんはいつ来るの？」

と、問うてきた少女にドキッとした。

子供というのは時に「超能力？！」と思ってしまう程、ベストなタイミングで大人の心の内を言い当てる時がある。

メディカは自分の心を見透かされたのかと思い、ビクリとしながらも何とか平静を装い

「うーん・・・。お兄ちゃんは凄くお仕事が忙しいから、いつ来れるか分からないな。」

眉を寄せ微笑むと

「えー。お兄ちゃんにはもう会えないの？」

そう言って、残念そうな顔を向ける少女が羨ましく思えた。